私が以東小屋の前で のんびりしているうちに
縦走路を下っていった人たちの姿が 小さくなっていった。
私が今年歩きたかったけど歩けなかった道。
羨ましいけれど、
私があの道を歩くチャンスを逃してしまったのは、
「もっと経験を積みなさい」ということなのかもしれない。
来年こそは!
小屋の2階に戻ると、
私のザックだけがポツンと残っていた。
お世話になった2階をサッとだけ掃除し、
ザックを背負って 外に出た。
昨日 狐穴小屋に泊まると言って追い越していった仙台のお二人と
小屋の前で再会。
昨日オツボ峰コースを登ってきて 今日は直登コースを下るという。
お二人は さくさく速いペースで歩くなぁと思っていたら、
男性の方は時々トレランもなさっているそう。
それにしっかり付いていく笑顔の素敵な彼女。
ホントに素敵な雰囲気の爽やかなカップルだった。
またどこかの山でお会いできたら嬉しいな。( ´艸`)
直登コースを登ってくる人たちの声が聞こえてきた。
下っていく仙台のお二人と
登って来た方たち。
管理人Iさんに挨拶して、以東小屋を出発。
すでに時計は8時を過ぎていた。
まずは以東岳山頂へ。
飯豊連峰。
そのうち、チャレンジする機会がきますように!
縦走路の 以東岳から下って間もなくの辺りに 陽が差した。
スポットライトのように。
「来年こそは、この道を歩くんだよ!」
と言われているような 印象的な景色。
山歩き1年目、2年目、そして今回3年目・・・と3回とも
以東岳山頂から縦走路を眺めて「あそこを歩きたい!」と思って終わったなぁ。(;^ω^)
でも、
「いつか歩きたい」から「来年は 歩きたいなぁ」になり、
「来年こそは!」になり、
思いは強くなってきてるかな(笑)。
狐穴小屋から来た方たちと 少し話をして・・・
8:20頃、下山開始。
下りは、景色を眺めながら のんびりオツボ峰コースを歩くつもり。
「予報は ☀→☁だけど、ずっと晴れててくれ~」と祈りながら。
山頂から少し下ったところで ふり返る。
次のピークで一緒になった方たちのお一人が、
「碧玉水、今まで飲んだ水場の水のなかで ナンバー・ワンかも!」
と言っていた。
うん、確かに美味しかった!
小さなピークをいくつも越えながら
徐々に標高を下げていくオツボ峰コース。
ピークに着くたびに、
見下ろしたり・・・
これから行く方を眺めたり。
ガンコウランの実。( ´艸`)
甘くて美味しかった。
歩いてきた道をふり返ったりも。
片側が切れ落ちてるところもあるけど、
普通に歩けば大丈夫。
ずうっと広がる景色を眺めながら下るのは
とっても気持ちいい。
朝日を受けて光っているササ。
今年たくさん実がなってる気がするナナカマド。
以東小屋が だんだん小さくなっていく。
ここも、左側に落ちないように? 気を付けて歩く。
何度も何度も 以東小屋の方をふり返って見る。
あれれっ?
あの小さな岩のところ、歩けるの?
と思ったら、
岩の尖がりの手前に、左に下る道があった。(;^ω^)
東側が切れ落ちてるところも。
あのゴツゴツの岩のところを歩いてきたのか。(;^ω^)
私が しょっちゅう立ち止まって ノロノロ歩いているうちに、
後ろから 次々に人がやってきた。
ザラザラなので 滑らないように気を付けて。
斜面に木々がつくる模様を眺めたりも。
さっき私を追い越していった方たちは
もう あんなところに。
縦走路のヒダヒダ。
向こうの斜面に赤茶色っぽく見えるのは、
たぶん 紅葉したチングルマの葉。
今度は 花の咲く時期以東岳にも来てみたい。
オツボ峰コースの花は見事だそうなので。
ふり返って見る。
あの辺りの斜面にも チングルマの花がたくさん咲いていたんだ・・・。
実は、
通り過ぎてから ふり返ってみて気づくこともある。
日常生活でも 仕事でも そうかもしれない。
森の中を歩くとき、
自分が片足で踏んだ部分の土の中には
世界の人口と同じくらいの数の微生物がいると 何かの本に書いてあった。
「微生物以外の生き物を合わせたら、
今 自分の目の前に広がっている景色の中には、
いったい どれだけたくさんの生き物たちがいるんだろう?」
と考えて、頭の中がグルグルになったことがあった。(;^ω^)
ふり返って見た景色の中に
大朝日岳と小朝日岳がまだ見えているのが嬉しかった。
「山歩きの、いったい何が楽しいんだ?」
と旦那から何度も訊かれた。
(最近は 訊かなくなったな。)
山頂を踏むことには こだわらない。
「 ただ山を歩くことが楽しい」んだと思う。
そして、
「歩きながら いろんなことを感じることができる」のが楽しいんだと思う。
木の根を跨いで・・・ 石の上を渡って・・・
なだらかな道を歩いて・・・ 急坂を登ったり下ったりして・・・
体全体で その道を感じたり。
光・風・音・匂い・味・・・
五感を使って いろいろ感じたり。
目に見える生き物たちとも
目に見えない生き物たちとも
み~んなつながっていることを感じたり。
山の成り立ちに思いを馳せ、
遠い太古の昔から続く時間の中にいることを感じたり。
人間中心の日常生活を送っているけれど・・・
人間も 自然のほんの一部だということを感じたり。
「すべてのものは 少しずつ変化し続けている」
ということを感じたり。
石も水も植物たちも みんな意識を持っていて、
私を見ていると感じたり。
「山に受け入れてもらって 山を歩かせてもらっている」
と感じたり。
自分が知っていることは この世の中のほんの一部に過ぎなくて・・・
一生かかっても 知ることができるのは ほんの一部に過ぎなくて・・・
そんなスゴイ世界に生きているのだと感じたり。
私は 今ここに生きていて・・・
山もまた 生きているのだと感じたり。
山は生きているからこそ
甘く見てはいけないと感じたり。
Iさ~ん!
私、まだ こんなところにいますよ~!(笑)
だんだん話が大きくなってきちゃって、
何を書こうとしてたんだか 分からなくなってしまった。
ま、いっか。
私には よくあること。(;^ω^)
9月下旬の3連休、縦走のチャンスか?と思ったけどやめたのは、
この辺りが ものすごい強風になる様子を想像したから。
稜線歩きの2日目が天気よくても、
登りと下りの日がガスで白くて強風だったら、私にはキツイなぁ・・・と思って。
山歩き初心者、無理は禁物。(;^ω^)
以東小屋が、あんなに小さくなった。
ハクサンイチゲが ポツポツまだ咲いていた。
ハクサンイチゲとか マツムシソウが 咲くころにも
ここを歩きたい。
今まで3回とも 秋だから。
あの 細く見える道に行く前に・・・
ここを歩く。
以東小屋から数分下ったところにある碧玉水の方を見る。
あそこから ずうっと流れて 東沢のほうへと続いていくんだな。
昨日登った直登コースの尾根が 向こうに見える。
急坂の下りに入ってから、
2度ほど滑ってヒヤリとした場面もあったけれど、
怪我無く下ってくることができた。
のんびりゆっくりオツボ峰コースを歩いてくることができて良かった。
・・・⑤へ続く・・・