12年前、
モノクロの写真の不思議な雰囲気に惹かれて 買った本。
何故だか気になって
本棚の すぐ手に取れるところに入れてあった。
最近 ふと思い出して見てみたら・・・
写真は、あの植田正治さんのものだった!
1970~80年代の写真が中心で、
レトロな雰囲気が漂う。
モノクロで不思議な雰囲気の写真たちに、
岩瀬成子さんが 詩的な言葉を添えている。
「かくれんぼ」というテーマで。
キレイな花や山・空などの写真を何度も見たくなるのとは違う、
「不思議な世界に触れたくて 何度も見たくなる」感じの本。
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写真家の植田正治さんのことを知ったのは
昨年 鳥取に行った時。
観光地図の中に『植田正治写真美術館』を見つけ、
行ってみたのだった。
(写真には全く興味が無いという旦那と息子も 付き合ってくれた。)
1913年鳥取県生まれの植田さん。
中学生のころから写真に夢中になり
18歳で上京して写真学校に入学。
卒業後に郷里で営業写真館を開業。
この頃から、写真雑誌や展覧会などに写真を出品して次々入選し、
頭角を現してきたのだとか。
山陰の空や砂丘を背景に 被写体をオブジェのように配置した演出写真が、
海外でも高い評価を得ているとのこと。
酒田市出身の写真家土門拳氏とも親交があったそう。
リアリズムを追求した土門氏と 演出写真を多数撮っている植田氏。
正反対のようにも思えるけど
写真に対する想いのようなところで通じ合うものがあったのだろうか。
写真美術館は、
どこを見ても 絵みたいで おもしろかったな。
ちなみに この窓からの景色。
晴れていたら、
ちょうど 大山が帽子をかぶっているように見えるのだとか。
見たものや感じたものを枠で切り取る写真。
その中に
被写体だけでなく
撮影者の想いやその人らしさも写る。
植田さんの写真は、
心にす~っと入り込んでくる感じのものが多かった。
時間が止まっているような、
でも
風が吹いているような。
奥に 階段を下りていく旦那の姿。
右側のガラスに 息子の影。
広い空は もちろんいいけれど、
切り取られたそらを見上げるのも おもしろかった。
こんな「隙間」みたいなところでさえ
素敵に見えた。
一日ぼ~っと過ごせそうな、
何度でも訪れてみたい写真美術館だった。