さあ、ここからまた ひと踏ん張り!
両手両足、体全体を使って登る。
あちらこちらに咲いているヒメサユリに励まされながら。
ウラジロヨウラクも たくさん咲いていた。
少し登った所で、
先に歩いていた方が腰を下ろして休んでいた。
なんと、上からの落石が腕と足に当たってしまい、痛みがあるとのこと。
「 もう少し休んでから ゆっくり登るから」
というその方を後に、進んだ。
そうなのだ。
自分が転んだりを道を踏み外したりしないようにしつつ、
落石を出さないように注意しながら登らねばならなかった。
ザレたところや浮石があるところもあり、
足の置き場・置き方には ホントに注意しながら登った。
登っている誰もが同じだっただろう。
それでも たまに
「 ら~く! ら~く!(落石!)」
の声が 上からも下からも聞こえてきた。
そういう危険なコースだった。
この辺りから イワカガミもたくさん咲いていた。
『ブナ休場』で ちょっと景色を眺めながら休んで
また登る。
そういえば、
ブナの林だ。
木のロープが無いところでは、木の枝につかまりながら登った。
だいぶ山頂に近づいてきた。
何度見ても 反り立つ壁のように見える。
鑓ヶ峰・鉾ヶ峰が ほぼ目線の高さに。
以東岳が あんなふうに見えるように。
この辺り、意外に歩きにくかった。
途中ですれ違った地元の方が履いていたのは、
「スパイク付き地下足袋」みたいな履物。
「こういう山は、こんなのが一番いいんだよ。」
私も そう思う。
「危険な岩場や急斜面が多いところでは
足裏の感覚が伝わりやすく、足指もちゃんと使うことができて、
足首の自由がきく靴の方が歩きやすいだろう」
と思うのだ。
バランス感覚に自信の無い私は、
不安や緊張が大きいと どこかに力が入ってしまうのか
バランスを崩して転びやすくなる。
自分が転ぶだけでなく 他の人を巻き添えにしてしまったら大変!
と思い、少しでも不安を小さくして歩きたかった。
倉沢コースに連れて行っていただくことになってから、
登山靴にしようか トレランシューズにしようか迷っていた。
「大きな雪渓を歩くなら 登山靴の方が安全かな」
「危険な岩場や急斜面が多いなら トレランシューズの方が歩きやすいかな」
・・と 直前まで迷って・・・
ベテランの方にアドバイスをいただいたり
摩耶山の観光協会の方に 山の状況を訊ねたりしたけど・・・
リーダーのSさんから「大きな雪渓を通らないコースを行く」とお聞きし、
トレランシューズにしたのだった。
荒沢ダムも見えた。
急斜面に ニッコウキスゲが。
山頂は あそこに見えるのに、
そこにたどり着くまで 歩きにくい急坂が続く。
一瞬たりとも気を抜けない。
そんな斜面に咲くヒメサユリたち。
色の濃いヒメサユリ。
木の枝が覆いかぶさってきて歩きにくいところも。
ここから左を見ると・・・
こんなだから、とにかく慎重に。
もう少し!
ふり返って見ると、
向こうに後ろの人たちが見える。
きた~!
山頂は もうあそこだ。
でも ここもザラザラ・ゴロゴロしていて歩きにくい所。
足が滑らないように気をつけて歩いた。
山頂の手前で おこじょの会の方たちとすれ違った。
この方たちは、ヘルメットをかぶっていた。
確かにヘルメットがあった方がいいコースだ。
朝お話した時「下りにはソリクラコースは使わない」とおっしゃっていたのに
ソリクラコースを下ってきたということは、
中道コースの雪渓が かなり大変な状況だったのかもしれない。
状況を見てコース変更をするっていうのも必要なんだな…。
越沢方面からの道との合流地点まで来た。
11:30頃 無事に山頂に到着!!
よかったよ~!
この前は真っ白で何も見えなかったけど、
今日は 鳥海山もうっすら見える。
南側の遠くにうっすら見えるのは、
飯豊連峰だって。
障子ヶ岳?
いつかまた行きたい以東岳。
景色を眺めながら休憩していると・・・
Sくんが 鑓ヶ峰に行くと言う。
リーダーSさんとⅯ子さんは、今日は行かないそう。
私は…どうしよう?
ほんとに あそこに 登れる?
かすかに 踏み跡のような筋?が見えるけど。
「10分もあれば 登れるよ。」
と先輩方の声。
赤飯のおにぎりを食べながら考える。
ちょっと迷ったけど、
次のチャンスがいつあるのか…いや チャンスそのものがあるのかどうか…
わからないので、
今日を逃さずにチャレンジすることにした!
Sくん、よろしく!
関川コースの方へ少し下った所から 中道コースの方へ入る。
下り始めてすぐ クマザサが道の脇にたくさん咲いていた。
木の向こうに 鑓ヶ峰が見える。
「 ここですかね~。でも道が無いですよね~。」
私が先になって藪をかき分けて行ってみたら、
道のような踏み跡あり。
でも、
数メートル進んだ所で前へ進めなくなり、引き返す。
中道コースを少し下りてみたが、
違うと分かって戻り、 大声で皆さんの方に叫ぶと、
Sさんが下りてきてくださった。
さっき進めなくなったところまでSさんがついてきて下さり、
「 そこは左に巻くといいよ。」
と教えて下さった。
確かに左に道があった!
その先は、もう無我夢中。
両側の木の枝をつかみながら 急坂をガンガン・ガシガシ登って・・・
鑓ヶ峰山頂に 着いた~!
5分くらいで登れたかもしれない。
摩耶山の山頂にいる皆さんの姿が見える。
鑓ヶ峰山頂は、涼しい風が吹いていて気持ちよかった。
360度 ぐるっと景色を眺めた。
( 自分の後ろ姿を入れて 摩耶山山頂の方を撮ってもらえばよかったな。)
下りも、両手で枝をつかみながらガシガシと。
摩耶山山頂に戻ってから 鑓ヶ峰をふり返った。
「 あそこに行ってきたんだ・・・。」
( ボコボコ二つ山が見える 手前の山。)
「行きましょう!」と誘ってくれたSくんのおかげで、
貴重な体験ができた。