この本は、
富山和子さんによる「自然と人間シリーズ」三部作の三冊目。
1作目の『川は生きている』は、
「森林と水との関係をとおして、人間が自然とどうつきあっていかねばならないかを
考えてほしい」
との願いから・・・
2作目の『道は生きている』は、
「余剰生産物の増大が交易を生み 都市を発生させる、という社会科学の基礎的な眼を
大地に即して育んでほしい」
との願いから・・・
そして3作目の『森は生きている』は、
「森林の持つさまざまな働きをさらにくわしく学び、自然を守るとはどういうことかを
考えてほしい」
との願いから・・・
森の国・日本。
・・・私たちの生活の中には、「森からのおくりもの」がたくさんあること。
・・・昔から人々は、そのおくりものに感謝しながら 森を育て、
森と付き合ってきたこと。
・・・森林のはたらき。
・・・土こそが人間を守ること。
山に人がいなくなってしまったらどうなるか。
そんなことが、
子どもから大人まで分かるような文章で、
具体的な例やイラストとともに書かれていた。
私たちの暮らしは 森と深くつながっていて、
昔から 人々は 森に感謝し、森を大切に育ててきたんだな・・・
と あらためて思った。
そういえば、
実家に行った時 母が、
近くの杉林を見ながら、こう言っていた。
「 この辺の杉林は、戦後 いっせいに植えられたんだけど、
今は山に入る人がいなくなってしまったし、ほったらかし。
どうなってしまうんだろう・・・。」
著者の富山さんは、
“ 森林の偉大さとは、つまるところ土壌の形成者であることにつきる。”
“ 土をうしなった文明は滅びていった。
人間は手をかけて、土を育てることに参加しなければならない。
“ 自分で土を守れない人は、土を守っている人を支えなければならない。”
と、書いている。
小さな小さな自分に何ができるかは分からないけれど、
まずは、
山歩きをとおして
山を感じること・・・
自分も自然の一部であると感じること・・・
そんなところから 始めてみよう。