図書館で 何気なく手に取った本。
この本は、
著者の水戸部さんが、
16年にわたって現場に通いつめ観察した記録だった。
この本の中で私が読んだのは、
第9章の中の『源流登山①~⑦』。
月山ダム工事事務所の人たちは、
「月山ダムの源は 朝日山系寒江山と月山に発する」
と現地説明で言っていたが、
それを実際に見た人はおらず、
「山に登って源流を確かめよう」ということになったのだった。
地図を見ながら
「三方境」と記されている三つの登山道の分岐点、
「梵字川・寒河江川・三面川の分水点」を目標に決め、
昭和61年8月8日 6人で登山開始。
「 水の流れがどんなふうになっているのか、
梵字川の水は なぜきれいなのか、
山系の連山は どんな木々を有しているのか、
実際に見たい・・・」
そんな思いを胸に登り始めたのだった。
一行は、
朝日屋旅館に泊まって 翌朝出発。
大鳥池から以東岳に登り、目標地点に近い狐穴小屋へ。
山の深さ・・・
ブナやトチなどの樹木の葉を渡る風・・・
心奪われる花々・・・
きれいな水とその冷たさ・・・
神秘の池のような大鳥池・・・
し~んとした山の夜の闇・・・
満天の星・・・
地図を見るだけでは分からなかったたくさんのことを体験。
狐穴小屋に泊まった翌日、
小屋から150mほど離れた場所に 小さな滝状の落下水を見つける。
「源流の定義は そもそも何なのか」の議論をし、
「 いくつかの沢筋を集めていて常時流れが続き、安定した水量がある」
「 岩に生えた苔の付き具合から、年月を感じさせる。」
と みんなで確認。
見つけた滝状の落下水が源流にふさわしいと納得、判断し、
そこに『源流杭』を打ち込んだという。
その3週間後の8月末には、
月山系の水源を探す登山をし、
月山と姥ヶ岳の間の稜線から月山西側に下ったところに
「これぞ源流」という湧水が湧き出ているのを見つけ、
皆 感動したという。
源流を確認し、杭を打ち込んだ瞬間は、
どんなにか感動したことだろう。
ううむ・・・「源流探しの登山」というのも興味深い。
そういえば、以前観た山歩きの番組で、
「 これが 〇〇川の源流ですよ。」
と ガイドさんが教えてくれる場面があった。
有名な大きな川(名前を忘れた)のその源流は、
山の中でキラキラ流れ落ちる水流だった。
獅子ヶ鼻湿原に行った時、
「土の中にしみ込んだ水が 300年かけて湧水となって湧き出てきている」
という湧水を見て感激したことも思い出すなぁ。
山歩きの時に
沢沿いの道を 沢音を聞きながら登り始めることが多いけど、
植物たちだけでなく 水を意識しながら山を歩くのも
おもしろいかもしれない。